そのひとを「みかえしてやりたい」という一見ネガティブにも見える思いは、
裏を返せばそのこころは「どうかわたしをみとめて」という切なる願いなんではないか。
がんばってがんばって 世間的認知を得ようというこころみは、
ほんとうにそのひとの心の内をよくよくしさいにながめてみれば、
ようは「あのひとに気づいてほしい そしてねがわくば『すごい』と思ってもらいたい」
というところに集約されるんじゃなかろうか。
がんばっていろんなものをなしとげて手に入れて、 なんとなく振り返って
「あのひと、これみてくれてるかな」とふと思う。
映画『ソーシャルネットワーク』を見たとき(以下少しネタバレ注意)、
自分をふった彼女を見返したくてフェイスブックを立ち上げ巨万の富を築いたマークが、
肝心の彼女に友達申請し、何度も更新画面をクリックしては承認を待つシーンがあった。
要するにそういうことなんだな、としみじみしながら映画館を出た。
そして 画期的な発明だの世界を席巻するような革新的ななにかというのは、
もしかしたらその多くが「たったひとりのあのひと」のためにできたのかな、と思った。
青山の大坊珈琲店、今月23日をもって閉店。
学生の頃から通い続けた店。
長いあいだお疲れ様でした。
〔佐伯紅緒公式ブログ 2013年12月20日〕