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流星ひとつ

Dec 13, 2013

CATEGORY : 芸術

沢木耕太郎「流星ひとつ」(新潮社)を読んだ。

今年8月22日に自殺した、藤圭子が引退直後の28歳の時に行われたインタビューだけで構成された本。

あんまり面白かったので、奄美に向かう飛行機の中で一気に読み終えてしまった。

「山の頂上に登りつめた者がとる道はふたつしかないのよ。それはね、転げ落ちるか他の頂に飛び移るかのどちらか」

インタビュー中の彼女のセリフだけど、これを読んだ瞬間、思わずウッとなってしまった。

なぜなら、娘の宇多田ヒカルが「SHOW ME LOVE」の中でこんな風に歌ってるのをだしぬけに思い出したから。

「築き上げたセオリー忘れよう 山は登ったら降りるものよ」

ゆっくり降りることなんてできない、と主張してきかない母と、登ったら降りるもの、とまっすぐに言い切る娘。

山の頂に立ったことがない私には想像もつかないことだけど、このふたりは同じ宿命を抱えているんだろうなと思った。

それにしても、共に10代で名声を勝ち取り、19歳で結婚、離婚を経験し、28歳で歌手活動を辞めるという、不思議すぎる符号を持ったこの母娘を「山」に登らせたものってなんだったんだろう。

〔佐伯紅緒公式ブログ 2013年12月13日〕

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